葬儀・家族葬コラム

家族葬

2025.02.05

【終活を始めるシリーズ】老後の不安解消につながる制度や契約

「いざ終活をはじめようと思っても、何からはじめればいいのかわからない。」

そう思っている方は少なくありません。

このコラムでは、これから終活をはじめたいと考えている方に向けて、終活でやること行う手順をつけたいことなどを全10回にわたってお伝えしていきます。

第8回目となる今回は、老後の不安解消につながる成年後見人制度や死後事務委任契約についてお伝えします。元気なうちに決めておくべきこと、やっておくべきことをまとめてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

成年後見人制度とは

成年後見人制度とは、万が一、将来認知症などで自分の判断能力が低下してしまった時に、第三者に財産管理や療養看護を任せることができる制度のことをいいます。

賃貸契約や施設への入居契約など、老後の日常生活を営むためにも、さまざまな契約が伴います。しかし契約内容を把握できる能力がない場合、その契約は無効となってしまいます。特に老後は、多かれ少なかれご自身の判断能力に不安を覚えることもあるでしょう。また認知症の方は、一人で何かを決めることが困難になってしまう可能性を、持っています。そのような場合に、第三者がサポートをしてくれる制度が、成年後見人制度になります。

ちなみに、成年後見人制度は「法定後見人制度」「任意後見人制度」の2種類があります。いずれも、判断能力が衰えてしまっても安心して自分らしい生活を送ることができるようにサポートをしてくれる制度ですが、2つの制度には、自分で後見人を選べるか、選べないかという点に違いがあります

法定後見人制度

法定後見人制度は、すでに認知症などで判断能力が不十分な状態の時に、家族など申立権のある人が家庭裁判所に申し立てをすることでサポートを受けられる制度で、自分で後見人を選ぶことはできません

ちなみに詳細は省略しますが、法定後見人制度は、本人の判断能力に応じて「後見」(判断が全くできない状態)、「補佐」(判断能力が部分的に不足している状態)、「補助」(判断能力に少し不安がある状態)の3つの段階があり、それぞれ保護してもらえる範囲が異なります。

任意後見制度

任意後見人制度は、本人の判断能力があるうちに、成年後見人となる人と、その人にやってもらいたい内容を決めておいて、万が一判断能力が衰えてしまった時に、成年後見人になってもらうことができる制度です。らかじめ自分で後見人を決めておくことができるため、終活で任意後見人制度の契約を行う人も少なくありません

任意後見人制度は、自分に何かあったときに頼れる親族がいないという方にも、安心して老後の生活を送っていただくための制度なので、興味のある方は、お近くの公証役場などに相談してみるとよいでしょう。

死後事務委任契約とは

成年後見人制度は老後の生活のサポートを委託する制度でしたが、死後事務委任契約は、亡くなった後の手続きを第三者に委任できる制度になります。自分の死後、葬儀の手配や関係先への連絡、役所手続きや、携帯や不動産の解約・清算など多岐にわたる手続きを、委任することができます。

身寄りのない方や、自分の死後、こうして欲しいという要望をお持ちの方家族に負担をかけたくないと考えている方は、利用を検討してみるとよいでしょう。

このように、成年後見人制度は「生前」、死後事務委任契約は「死後」のサポートが受けられる制度という違いがあります。つまり、この2つの契約をしておくことで、生前と死後両方のサポートを受けられることになります。

「死後事務委任契約」と「遺言書」との違い

相続財産の割合や誰が遺産を相続するかなど、相続についての要望は遺言書に遺すことができますが、例えば、「本家のお墓に入らず、実家のお墓に入れて欲しい」など、相続以外に関する要望がある場合は、死後事務委任契約を結んでおくと安心です。逆に言えば、相続に関する業務は、死後事務委任契約で委任することはできませんので注意しましょう。

任意後見人制度の利用方法

もしもの時のために、終活の一環で、「任意後見人制度」や「死後事務委任契約」の手続きをしておいた方がよいとお考えの場合は、元気なうちに利用方法を確認し、手続きをしておくことが大切です。ここでは利用方法や利用の流れをお伝えします。

任意後見人制度の契約方法と利用までの流れ

任意後見人は、ご家族やご親族などの信頼できる方がいるのであればその方に依頼するのが一番よいでしょう。ただし、そのような方がいない場合は、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門職や、社会福祉協議会などの第三者に依頼することもできます。また、改ざん等を防ぐため、任意後見契約を公正証書で作成しておく必要があります

任意後見人制度の申請から利用までの流れ

  1. 任意後見人候補者と任意後見契約を締結する
  2. 本人と任意後見人候補者がそろって公証役場に行き、必要書類を提出して公正証書を作成する
  3. 指定法務局で契約内容が登記される
  4. 本人の判断能力が低下した場合に、任意後見人または親族などが家庭裁判所に申し立てる
  5. 家庭裁判所が関係者への聴取や現場調査のうえ、必要と判断した場合に任意後見人制度の利用開始となる

任意後見人制度の費用

任意後見人制度に必要な費用は、以下のとおりです。

公正証書作成のための委託費用

弁護士などの専門家に公正証書作成の事務を委託した場合は、その費用を支払います。

その場合の費用は、10万円〜20万円が相場です。

公正役場での手数料

公証人への手数料として11,000円が必要になります。

それ以外に

・法務局への印紙代(2,600円)

・法務局への登記嘱託料(1,400円)

・書留郵便料(約540円 ※重量によって異なる)

・正本・謄本の作成手数料(1枚250円×枚数分)

も必要になります。

後見人への報酬

また、後見人への報酬を支払う場合もあります。報酬の有無や金額については、本人と後見人となる人が話し合いのもと決めることになりますが、一般的に身内が後見人になる場合は無償で引き受けることが多くなっています。また、第三者が後見人となる場合は、報酬を支払うのが通常で、金額は月額3万〜6万円が相場といわれています。ちなみに報酬は、業務が発生してから支払われるもので、契約を結んだだけでは生じません

任意後見人制度の注意点

任意後見人制度の注意点は、以下のとおりです。

一旦契約を交わしたらずっと続く

成年後見人制度は、本人の保護のために行われるものです。そのため一旦制度の利用を開始すると、本人が判断能力を回復するか死亡するまで続き、本人や親族の都合で利用を止めることはできません。必要性を慎重に考えた上で契約を交わしましょう。

契約内容以外のことは行ってもらえない

成年後見人は、あらかじめ契約して決めた内容以外のことを行うことはできません。契約内容を決める際は漏れがないよう慎重に行いましょう。

裁判所の判断で後見人以外の人が選任される場合がある

調査の結果、裁判所が不適任と判断した場合は、候補者に挙げられた人物以外が後見人として選ばれる場合があります。また、専門家などを後見人に追加し複数で行う場合や、裁判所が選任した後継監督人が就く場合もあります。

死後事務委任契約の締結方法と利用までの流れ

死後事務委任契約は、生前に、自分の死後必要になる手続きつを委託することができる制度です。友人や知人、弁護士や行政書士など、信頼できる第三者と結ぶ契約で、誰に依頼するかはご自身で決めることができます。また、改ざんのリスクを防ぐため、公証役場で公正証書にしてもらう必要があります

申請〜利用の流れ

  1. 死後に委任したい業務内容を決める
  2. 死後事務委任契約の内容を確認し契約書を作成する
  3. 本人と受託候補者がそろって公証役場に行き、必要書類を提出して公正証書を作成する
  4. 指定法務局で契約内容が登記される
  5. 受託者に預託金を支払う
  6. 本人の死後、受託者が契約内容に従って事務を行う
  7. 業務終了後、受託者は相続人へ報告し、預託金の余りがあれば返還する

死後事務委任契約の費用

死後事務委任契約には、以下の費用が必要になります。

公正証書作成のための委託費用

弁護士などの専門家に公正証書作成の事務を委託した場合は、その費用を支払います。

その場合の費用は、10万円〜20万円が相場です。

公正役場での手数料

公証人への手数料として11,000円必要になります。また謄本手数料等で3,000円がかかります。

預託金

受託者に支払う報酬です。一般的には、100万円〜1000万円が相場となります。なお、預託金をあらかじめ支払わずに遺産から精算できるようにする方法もあります。詳しくは専門家に聞いてみましょう。

死後事務委任契約の注意点

死後事務委任契約の注意点は、以下のとおりです。

相続に関することは委任できない

遺産の割合や分割方法など相続に関することは、遺言書に記載する事項のため、死後事務委任契約に盛り込むことはできません。また、銀行口座の解約手続きについても、遺言書に記載された遺言執行人が行うため死後事務委任契約に盛り込む必要はありません。

事前に親族に伝えておく

親族以外に委任する場合は、あらかじめその旨を親族に伝えておきましょう。身内の死後、急に知らない人から連絡が来たら不審に思う可能性があるためです。

必要な事務をもれなく記載し、そのための費用を算出しておく

死後事務の履行については、契約で決めた内容以外の費用を支払うことはできません。そのため必要な死後事務とそれにかかる経費、履行者への報酬はもれなく契約書に盛り込んでおきましょう。

任意成年後継人制度や死後事務委任契約はいつ行うべき?

いずれも考え始めたタイミングがはじめ時です。メリットやデメリットをよく考慮した上で、必要だと感じた場合は、すぐにでも動き始めましょう。必要書類を揃えたり、契約内容を決めたり、意外と時間がかかる作業になるので、終活の一環として元気なうちに取り掛かっておくと安心です。

成年後見人制度や死後事務委任契約についての相談先

成年後見人制度については、お住まいの地域の相談支援専門員や、社会福祉協議会、地域包括支援センター、成年後見センターなどで相談することができます。また弁護士や行政書士などの専門家に相談してもよいでしょう。死後事務委任契約についても、弁護士や行政書士などの専門家をはじめ、相続遺言相談センター、生前対策あんしん相談センターなどに相談することができます。


また、もし「終活をしたいけど、何から始めていいかわからない」、「誰かに相談しながら進めたい」といった場合には、葬儀社の事前相談や終活相談を活用するのもおすすめです。さがみ典礼の終活相談なら、葬儀のことはもちろん、お墓のことやエンディングノートの書き方など、終活に関する不安や疑問について、なんでもお気軽にご相談いただけます。

長岡 一知

1級葬祭ディレクター

長岡 一知 (ナガオカ カズトモ)

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