葬儀・家族葬コラム

お葬式のマナー

2023.08.08

直葬だけでもお坊さんを呼べるの?費用や手配方法も解説します

直葬だけでもお坊さんを呼べるの?費用や手配方法も解説します

最近は葬儀のかたちも様々になり、葬儀の小規模化、簡略化が進んでいます。中でも最もシンプルな葬儀といわれているのが、お通夜や葬儀・告別式を行わない「直葬」です。

費用を最小限に抑えることができるため、経済的な理由から選ばれることも多い直葬ですが、宗教儀式を省略しているため、読経や戒名をどうすればよいのか疑問に思われる方も多いようです。

今回は「そもそも直葬とは何か」という基礎知識に加え、「直葬ではお坊さんを呼ぶことができるのか」という疑問について詳しく解説していきます。

直葬とは

別れをする葬儀形態を直葬といいます。直葬は、基本的にはご家族やご親族のみで執り行われ、宗教儀式を省略しているため、仏式の葬儀で必ず行われる僧侶による読経もありません。

直葬は、名称に「葬」とついていますが、儀式を行わず火葬のみを行うため、厳密には葬儀式ではないとする向きもあります。そのため直葬の場合は、葬儀を行なった人に支給される葬祭補助金を支給しないとしている自治体もあるため注意が必要です。

火葬式との違い

「火葬式(かそうしき)」は直葬の別名です。よく葬儀社のプランなどには「火葬式・直葬」と表記されていることが多いです。

直葬の費用相場

一般葬の費用相場は200万前後といわれていますが、直葬では、葬儀会場や祭壇にかかる費用、香典返しや会食費など、通常の葬儀に必要な諸々の経費がかからないため、20万円前後で済んでしまうことが多いです。内訳としては、葬儀社に支払う料金火葬場に支払う料金のみとなります。

直葬のメリット・デメリット

直葬のメリット

直葬のメリットはいろいろありますが、第一に費用が安いことがあげられます。

また

通常の葬儀はお通夜・葬儀・告別式、火葬と二日間かけて行いますが、直葬の所要時間は1時間程度です。そのため高齢のご親族の体力的な負担も少なく、遠方の参列者も日帰りで参加することができます

また

香典返しや会食手配など葬儀の準備や当日の弔問客対応などの手間も省くことができるため、直葬を選択することは、ご遺族様の負担を軽減することにもつながります。

直葬のデメリット

直葬は式を行わずに直接火葬場でお別れすることになるため、故人様とのお別れの時間が短い点がデメリットとなります。

心の準備ができる前に火葬となってしまうこともあり得るので注意が必要です。

また

宗教儀式を行わない葬儀ですので、親族や菩提寺から反対を受ける可能性もあります

必ず事前に親族や菩提寺に直葬の同意を得ておきましょう。もし菩提寺の許可がおりない状態で直葬を行なってしまった場合は、先祖代々の墓に納骨することができないため、無宗教でも入れる納骨先を探す必要もでてきます。

ほかにも通常の葬儀に比べて、葬儀に参列できなかった友人・知人が後日ご自宅に弔問に訪れる機会が多くなるなど葬儀後の負担が増える可能性があることも念頭に入れておきましょう。

直葬にはお坊さんを呼べるの?

お葬式と聞くと、僧侶がお経をあげている姿を連想してしまいますが、直葬は火葬のみを行うシンプルな葬儀ですので、そのような宗教的な儀式は基本的には行わないと思ってください。

しかし場合によっては僧侶をお呼びして読経をしてもらうことも可能です。その場合は、別途僧侶を手配する必要があります。

直葬でお坊さんに読経をお願いするケース

上述のとおり基本的には火葬のみを行う直葬ですが、最近は直葬で僧侶をお呼びして読経していただくケースも増えています。

僧侶をお呼びするケースとしては以下の2つの理由が考えられます。

・菩提寺など付き合いのある寺院の意向

先祖代々お付き合いのあるお寺がある場合は、火葬後はそのお寺の管理するお墓に納骨するのが自然の流れかと思います。しかし宗教儀式を省いた直葬の場合、お寺から納骨を拒否されてしまうことも考えられます

メリット・デメリットの章でもお伝えしたとおり、菩提寺がある場合は、必ず直葬で葬儀を執り行う旨を事前に伝え許可を得ておく必要がありますが、その際に僧侶の方から、「せめて読経の機会を」というお話になることがあります。

・「読経だけはしてあげたい」というご遺族様の意向

直葬でも供養のために「せめて読経だけはしてあげたい」と思うご遺族様も少なくありません。

一般的な葬儀は経済的にも体力的にも厳しいけれど、直葬に読経を加える折衷案であれば「きちんとお見送りをしてあげられた」という納得感にもつながるため、ご遺族様の方から読経を希望されるケースもあります。

直葬の読経はいつしてもらう?

直葬の場合、僧侶に読経をしてもらうタイミングは2パターンあります。

①出棺前に安置場所で読経をしてもらう

安置場所に僧侶をお呼びし、短いお葬式を行います。

②火葬場の炉前で数分だけ読経をしてもらう

火葬場に僧侶をお呼びし、火葬前に数分だけの読経をしてもらいます。

お坊さんへのお布施の費用相場

直葬の費用相場は20万円前後とお伝えしましたが、僧侶をお呼びする場合はお布施が別途必要になります。お布施は読経のお礼としてお寺や僧侶にお渡しするもので、あくまで感謝の気持ちを表すものなので金額が決まっているわけではありませんが、おおまかな相場は以下の通りです。

菩提寺があって菩提寺の僧侶に読経してもらう場合10万〜50万程度
菩提寺以外の僧侶に読経してもらう場合10万円程度
炉前で数分だけの読経の場合5〜6万円程度

また、戒名をつけてもらう場合は上記の金額に上乗せしてお渡しします。戒名のランクによっても費用が異なりますので直接お寺にお尋ねすることをおすすめします。

お坊さんの手配方法について

先祖代々お付き合いのある菩提寺がある場合は、そちらにお願いするのが自然の流れですが、菩提寺がない場合や、菩提寺の許可がおりなかった場合は、僧侶紹介サービスを行なっている葬儀社に手配をお願いするのがおすすめです。葬儀社であれば、直葬に理解のある僧侶を手配してくれるので安心です。

まとめ

直葬でも読経はしてもらえる

ここまで直葬の基本知識に加え、「僧侶をお呼びしての読経が可能か」についてお伝えしてきました。葬儀のあり方が多様化する昨今、ますますシンプルな直葬の需要は高まっていくのかもしれません。直葬のオプションとして僧侶による読経を加えることは、直葬のメリットを活かしつつ、「お経を読まないと供養にならないのではないか」というご遺族様の不安の解消にもつながります。その分お布施は必要になってしまいますが、直葬を検討されている方は、新しい葬儀の一つの形として参考にしていただけたら嬉しいです。

小林 勝也

小林 勝也 (コバヤシ カツヤ)

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