葬儀・家族葬コラム

お葬式のマナー

2024.09.10

法事のお返しは何がいい?相応しいものとダメなもの。相場やマナーも解説

法事のお返しは何がいい?相応しいものとダメなもの。相場やマナーも解説

故人様の命日を機に定期的に営まれる法事。その際に、参列者が持参するお供物には、感謝をこめてお返しをするのがマナーです。しかし、何をお返しすればよいか迷われる方も多いのではないでしょうか。


今回は、法事のお返しにはどのようなものが喜ばれるのかみなさんがどんなお返しを選んでいるかなど、詳しく解説していきます。お返しの金額の目安やマナーもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

法事のお返しとは?なんて言う?


一周忌や三回忌といった法事には、集まった参列者が供物や御仏前を持参します。それに対して施主側が用意するお返しの品を法事のお返しといいますが、「引き出物」「返礼品」などと言われることもあります。

香典返しとの違いも知っておこう

よく間違いやすいのが、「香典返し」との違いです。

通夜や葬儀、四十九日法要の際に参列者からいただく金銭を「香典」といいますが、四十九日(忌明け)を過ぎたら香典ではなく「御仏前」となるのが一般的です。

香典は霊前に供えるもの、御仏前は仏様に供えるものという違いがありますが、仏教では亡くなられた方の魂は、四十九日までは霊としてこの世に留まり、四十九日を過ぎると仏になると考えられているため、同じ金銭でも四十九日を境に名称が変わります。

そのため、一周忌以降の法事では、香典返しではなく引き出物や返礼品と呼ぶのが正しい呼び方になります。

法事のお返しの金額はどのくらい?


法事のお返しの品の金額は、いただいた額の1/3〜1/2が目安になります。一般的に法事の香典額は1万円程度が相場と言われていますので、お返しは、前後する場合も考慮し2千円〜5千円を目安に考えておきましょう。

ただし、法要後に会食がある場合の御仏前は、2~3万円程度が相場となります。そのため会食の席を設ける場合は、相場となる金額から会食の費用を引いた額の半額程度の品物をご用意するとよいでしょう。

高額の御仏前をいただいてしまったらどうする?

もし想定していた金額より多くいただいてしまったら、後日改めてお礼の品をお送りしましょう。故人様との関係性によっては、高額を包んでくださる方もいらっしゃいます。法事ではよくあることですがそのままにしてしまうと失礼にあたりますので、必ず後日お礼の品物を贈るようにしてください。

法事のお返しは何が選ばれている?

法事のお返しは不祝儀にあたるため、いわゆる「消え物」といわれる形に残らないものや消耗品を選ぶようにします。ここではよく選ばれる法事のお返しをいくつかご紹介したいと思います。

お菓子


まずは定番のお菓子です。引き出物としてお渡しするお菓子は「引き菓子」とも呼ばれます。お菓子には「お膳のお裾分け」という意味合いや、もらった人が帰ってから家族と分かち合うお土産のような意味合いも含まれています。

具体的には、クッキーやフィナンシェなどの焼き菓子や和菓子などもよいでしょう。ただし生菓子は日持ちを考えると避けた方がよく、なるべく賞味期限の長いものを選ぶようにしましょう。

お茶やコーヒー

お茶やコーヒーは毎日飲むものでもあるので喜ばれます。普段飲むようなものではなく、少し特別感のあるものを選んであげるとよいでしょう。

タオル

タオルは実用的であるだけでなく、悲しみを拭い去るという意味も込められるため、法事のお返しとしてよく選ばれています。タオルを贈る際は、無地の落ち着いた色合いのものを選ぶようにしましょう。もちろんバスタオルでも問題ありません。

法事のお返し選びのポイント

✔︎消え物を選ぶ
✔︎食品は日持ちするものや小分けになっているものを選ぶ
✔︎特別感のあるものを選ぶ
✔︎軽くて荷物にならないものを選ぶ
✔︎割れ物は避ける

法事のお返しに選んではいけないものは?


法事のお返しに適さない品物は、肉や魚、お酒、慶事によく用いられるもの、生花などがあります。

肉や魚


肉や魚は「四つ足生臭」と言われ避けられています。また生物を持ち歩く負担をかけてしまうという意味においても避けた方がよいでしょう。

慶事によく用いられるもの

慶事によく用いられるものに昆布や鰹節などがあげられます。軽くて持ち運びにはよさそうですが、おめでたいことを連想させるため法事のお返しには適していません。

縁起の良いモチーフ

鶴・亀・松竹梅・うさぎ・ふくろうなど、よく縁起物に用いられるモチーフのある品物も避けた方がよいでしょう。

商品券

商品券やギフトカードのようにあからさまに金額がわかってしまうものは、地域や贈られる方の年代によっては失礼にあたる場合がありますので、なるべく避けた方がよいでしょう。

法事のお返しのマナー


法事のお返しの掛け紙の書き方や、渡し方のマナーなどを解説します。

掛け紙の種類と書き方

法事のお返しには掛け紙をかけます。熨斗(のし)の有無や表書きの書き方、水引の種類などをお伝えします。

・熨斗(のし)はつけない

熨斗とは掛け紙の右上にある飾りのことです。熨斗は慶事の際につけるものなので、法事のお返しには熨斗のついていない掛け紙を選ぶようにしましょう

・表書きの書き方

掛け紙の中央上部の表書きは「志」または「粗供養」とします。どちらでも使えますが、「志」は全国どこでも通用するため、迷ったら志としましょう。「粗供養」は関西地方で使われることが多いです。

そして表書きの下には、施主の姓、または〇〇家と書きます。施主のフルネームを書いても問題ありません。

・水引

法事における水引は、黒白、黄白、銀、青白が用いられます。黄白は主に関西地方で用いられることが多いです。また結び方は「結び切り」です。結び切りには「繰り返さない」という意味が込められています。

・掛け方

掛け紙の掛け方には「内掛け」と「外掛け」の2種類がありますが、直接手渡しをする場合は外側に掛け紙が見える外掛けにします。もし郵送されるのであれば、掛け紙が配送時に汚れてしまわないように内掛けにしましょう。

お返しの渡し方のマナー

法事のお返しの渡し方のマナーや注意点をお伝えします。

最後のお見送りの時に渡す

渡すタイミングですが、法事がおわって参列者をお見送りする際にお渡しするのが一般的です。もし会食の席を設けた場合は会食後にお渡ししましょう。

一人ひとり手渡しをする

法事のお返しは1人ずつ手渡しをするのが丁寧でよいとされています。施主がお一人お一人に感謝の気持ちをお伝えしながらお渡しするのが理想です。

なお法事のお返しを直接手渡しする場合は、お礼状は不要です。郵送でお送りする場合はお礼状をつけましょう。

法事のお返しは、失礼のないようマナーを守って贈りましょう


ここまで、法事のお返しの金額相場から渡し方まで、マナーや注意点をお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。

法事のお返し選びは、何にするか迷われる方も多いと思いますが、「荷物にならないもの」「消え物」「普段自分では買わないもの」などのポイントを押さえておけばスムーズに選ぶことができると思います。

法事は何年かに一度のことなので、ついマナーを忘れてしまいがちですが、特にお返しの品については、相手の手元に渡るものなので、失礼のないよう気をつけたいですね。

小林 勝也

小林 勝也 (コバヤシ カツヤ)

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