葬儀・家族葬コラム

家族葬

2023.12.08

火葬式・直葬も立派な葬儀です。後悔しないお見送りにするための6つのポイント

最近は、火葬式・直葬を行う方が増えています。

火葬式・直葬はよく「お寺とのトラブルのもとになる」「お別れの時間が短い」などのデメリットを強調した記事も多く、不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。でもご安心ください、火葬式・直葬でもポイントを押さえておけば、後悔のないお見送りにすることができます。

そこで今回は、火葬式・直葬をする前に押さえておきたい注意点をご紹介します。

火葬式・直葬とは

一昔前は葬儀といえば、大々的に行うものでしたが、最近は家族葬や一日葬の普及により、小規模かつシンプルな葬儀が主流となっています。中でも最もシンプルな葬儀形態が「火葬式・直葬」です。火葬式・直葬は、お通夜も葬儀・告別式も省略し、直接火葬場でお見送りをするお別れの形です。そのため参列者もご遺族・ご親族のみのごく少人数となるのが特徴です。

火葬式・直葬が選ばれる理由

火葬式・直葬は、近年需要を伸ばしていますが、その背景には何があるのでしょうか。

葬儀の小規模化・簡素化が進んでいる

新型コロナウィルスによるパンデミックを経て、身近な人だけでお見送りをすることへの抵抗がなくなり、むしろ落ち着いてお別れができるというよい側面が見直されるようになりました。

現代のライフスタイルに合っている

火葬式・直葬は、儀式を省略しているため、葬儀全体の時間を大幅に削減することができます。そのため忙しく働く世代のライフスタイルにもマッチしています。

儀式・形式にこだわらない人が増えている

お寺離れという言葉も耳にする昨今、無宗教葬のように宗教儀式にこだわらない葬儀も浸透しつつあります。このようなことからもわかるように、葬儀において儀式や形式にこだわる人は昔に比べて減少傾向にあります。

核家族化と都市部への人口集中

核家族化や地方から都市部への人口流入が進む中、祖父母や親族とともに生まれ育った地で生活している人は少なくなっています。そのような状況下では、遠く離れた場所で行われる血縁以外の葬儀への参列のハードルはどうしても上がってしまうため、火葬式や家族葬のような身内中心の葬儀の需要拡大につながっています。

少子高齢化による葬儀の担い手不足

少子高齢化が進み死亡年齢が高齢化することで、葬儀の担い手である子供や兄弟も高齢となるため、経済的・体力的な理由から簡素なご葬儀を選ぶ方が増えています。

火葬式・直葬のメリット

続いては、火葬式・直葬のメリットをお伝えします。

費用を安く抑えられる

火葬式・直葬は一般葬の1/10〜1/5程度の費用で執り行うことができます。このように儀式を省略することで、葬儀費用を最小限に抑えることができます。

ご遺族の心身の負担が軽減できる

通常ご葬儀では、2日間にわたるハードスケジュールをこなさなくてはなりませんが、火葬式・直葬では、火葬場への立ち会いのみですむため、参列者対応に追われることもなく、ご遺族の心身の負担は少なくてすみます。

遠方からの親族も日帰りで参列できる

お通夜や葬儀・告別式を省略しているため、火葬式自体は半日程度ですべてを執り行うことができます。そのため、もし遠方から親戚が参列される場合でも、日帰りでの参列が充分可能になります。

注意点を守れば火葬式・直葬でも後悔のない葬儀ができる

このようにメリットの多い火葬式・直葬ですが、いくつか気をつけておきたいポイントもあります。ここでは火葬式・直葬で押さえておきたい注意点をお伝えします。

ご遺体の安置場所を確保する必要がある

火葬式・直葬は、直接火葬するのだから安置は必要ないと思われる方が多いのですが、日本では「死後24時間は火葬してはいけない」と法律で定められているため、火葬式・直葬でも、ご逝去から火葬まで最低でも1日はご遺体を安置しておく場所を確保する必要があります。安置場所は、ご自宅・葬儀社の安置施設などがあり、事前にどこに安置したいかを決めておくとスムーズです。

できるだけ故人様との最後の時間を多く取る

火葬式・直葬のデメリットの一つに、お別れの時間が短いということがあります。心残りにならないよう、安置場所で一緒に過ごす時間を長めに確保するなど、できるだけ故人様との時間を多く取るように心がけましょう。

菩提寺には必ず確認をとる

菩提寺がある場合は、必ず事前に承諾を得ておく必要があります。菩提寺の許可を得ずに火葬式・直葬で葬儀を執り行った場合、先祖代々のお墓に納骨できなくなるなどのトラブルに発展する可能性があります

事前に親族の合意を得ておく

ご親族の中には、葬儀といえば大々的に行うものと思っている方もいらっしゃるかもしれません。葬儀はやり直しが効かない一度きりのことですので、必ずご家族・ご親族の合意を得た上で進めるようにしましょう。

葬儀後の自宅弔問に備えておく

ご友人・知人が多い故人様の場合、葬儀に参列できなかった方がご自宅へ弔問にみえる可能性があります。その時のためにお茶などの用意をしておくと安心です。

葬儀社選びは慎重に

火葬式・直葬は費用が安いため葬儀社にとっては利益が少なく、サービスの質の低下につながりやすいです。また、中には必要以上に追加料金を求めてくる悪質な業者もいるようです。そのような業者にあたらないよう、複数の葬儀社に見積もりを依頼し、比較検討して葬儀社を決めることをおすすめします。

火葬式・直葬に向いているケース・向いていないケース

火葬式・直葬は注意点さえ守ればメリットの多いご葬儀ですが、向き不向きもあります。以下を参考に、ご自身がどちらにあてはまるか判断してみてください。

向いているケース

  • 参列者の数が明らかに少ない
  • 菩提寺がない
  • 経済的な余裕がない
  • 宗教はあまり気にしない

向いていないケース

  • 参列者の数が明らかに多い
  • 菩提寺があり、了承を得るのが難しい
  • 宗教心が強い

儀式を省略しても大丈夫なの?

葬儀といえば、僧侶による読経や儀式を伴うものという認識が一般的かもしれませんが、実は葬儀は法律的に義務付けられているものではなく、あくまで古くからの慣習にすぎません。法律で義務付けられているのは、「死亡届の提出」と「火葬」のみで、宗教儀式を執り行うか否かはご遺族の判断に委ねられています。

読経なしでは供養にならない?

火葬式・直葬というと、僧侶による読経などの儀式を省略している分、きちんとした供養ができないのではないかとご不安に思われる方もいらっしゃると思います。現代においてお経はお葬式や法要の場で読まれることが多いため、先祖供養のためというイメージが強いですが、実はお経の本来の意味は、生きている人のために読まれるものであることをここでは強調しておきます。

また、火葬式・直葬でも、ご遺族が挨拶文を読み上げたり、オプションとして僧侶に読経をお願いすることで、より心のこもったお葬式にすることができます。

読経の代わりにご遺族からの挨拶文を読み上げる

火葬式・直葬では、読経をしない代わりにご遺族から故人様に向けての挨拶文を読み上げることがあります。今までの感謝の気持ちを、最後のメッセージに託してお伝えすることで、きっと故人様も浮かばれることでしょう。

僧侶に読経だけしてもらうこともできる

「供養としてどうしても読経をお願いしたい」というご遺族の意向や、「せめて読経だけでもさせてほしい」という菩提寺の意向がある場合に、火葬式・直葬でも僧侶に読経をしていただくことがあります。最近は僧侶を紹介してくれるサービスも増えていますので、菩提寺がない場合は、葬儀社に相談してみましょう。

火葬式・直葬でも心のこもったお葬式はできます

ここまで、火葬式・直葬が普及した背景やメリット、後悔しない葬儀にするための注意点などをお伝えしてきました。葬儀の簡素化・小規模化の流れの中で、最もシンプルな葬儀として注目を集める火葬式・直葬は、今後ますます需要を伸ばしていくことでしょう。

お伝えしたように、注意点を事前に把握しておけば、火葬式・直葬でも心のこもったお葬式にすることができます。今回の内容を参考に、ぜひ悔いの残らない葬儀を実現しましょう。

小林 勝也

小林 勝也 (コバヤシ カツヤ)

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