葬儀・家族葬コラム

葬儀・家族葬コラム

更新日:2026.07.14

香典とは?包み方や渡し方のマナーと金額相場

身近な方の訃報に接すると気持ちの整理がつかないまま、限られた時間で参列の準備を進めることになります。普段とは異なる状況の中で、どのように振る舞えばよいのか戸惑う方も少なくありません。

葬儀の場では、形式を整えることだけでなく、故人を悼み、ご遺族の心情に配慮する姿勢が大切です。基本的な作法を知っておくことで、慌ただしい状況でも落ち着いて弔意を伝えられます。

香典とは?

香典とは、故人の霊前や仏前に供える金品を指します。かつては線香や抹香、米、食べ物などを持ち寄る習慣があり、現在ではそれらの代わりとして現金を包む形が一般的になりました。葬儀にかかるご遺族の経済的な負担を互いに支える意味も含まれています。

香典は、お通夜や葬儀・告別式だけでなく、49日法要や1周忌などの法要でも用意することがあります。ただし、厳密には仏教に由来する言葉であり、神式やキリスト教式では「御玉串料」「御花料」など、宗教に合わせた名称や表書きを用います。

香典袋の選び方

香典を包む袋は、不祝儀袋または香典袋と呼ばれます。仏式の葬儀では、黒白や双銀の結び切りの水引が付いたものを使うのが一般的です。蓮の絵柄が入った袋は仏式専用のため、神式やキリスト教式では使用しません。包む金額が少額の場合は水引が印刷された袋を選び、高額になるほど実物の水引が付いた袋を選ぶと、金額との釣り合いを取りやすくなります。

表書きは宗教や宗派によって異なります。一般的な仏式の通夜や葬儀では「御霊前」または「御香典」を用い、49日後の法要では「御仏前」または「御佛前」を用います。ただし、浄土真宗では亡くなった後すぐに仏になるという考え方から、葬儀でも「御仏前」を使います。神式では「御玉串料」や「御榊料」、キリスト教式では「御花料」が用いられます。

香典袋の書き方

香典袋の表面には、水引の上に表書き、水引の下に氏名を書きます。通夜や葬儀では、悲しみで涙がにじんだことを表すため、薄墨の筆ペンや毛筆を使うのが伝統的な作法です。氏名は表書きよりもやや小さく、中央にフルネームで記します。法要では、一般的な濃い墨を使用することもあります。

中袋がある場合は、表面に包んだ金額、裏面に住所と氏名を書きます。金額は「金壱萬圓」「金参萬圓」のように大字を使うのが正式な書き方です。中袋がない香典袋では、外袋の裏面左下に住所、氏名、金額を記します。ご遺族が香典返しやお礼状を準備しやすいよう、住所は郵便番号やマンション名まで省略せずに書くことが大切です。

お札の入れ方と包み方

香典には、折れや汚れが目立つ紙幣ではなく、使用感のあるきれいな紙幣を用います。新札は、あらかじめ不幸を予想して準備していた印象を与えるとして避ける習慣があります。新札しかない場合は、中央に軽く折り目を付けてから包みます。反対に、破れた紙幣や著しく汚れた紙幣は、ご遺族に失礼となるため使用しません。

中袋に紙幣を入れる際は、肖像画が描かれた面を裏側に向け、肖像画が袋の下側に来るようにそろえる方法が一般的です。複数枚を包む場合は、紙幣の向きをすべてそろえます。外袋は先に下側を折り、その上から上側を重ねます。弔事では、上側の折り返しが表に出る形に整えます。

袱紗の包み方と香典の持参方法

香典袋は、そのままバッグやポケットに入れず、袱紗に包んで持参します。袱紗には香典袋の汚れや折れを防ぎ、金品を丁寧に扱う意味があります。弔事では紺、深緑、灰色などの落ち着いた色が適しており、紫色は慶事と弔事の両方に使用できます。赤や橙などの明るい色は慶事向けのため避けます。

風呂敷型の袱紗では、香典袋を中央より少し右に置き、右、下、上、左の順に折って包みます。受付では袱紗を開き、香典袋を相手から表書きが読める向きに変え、袱紗の上に載せるか両手で差し出します。慶事とは折る順序が反対になるため、事前に確認しておくと安心です。

香典を渡すタイミングと受付でのマナー

香典は、お通夜または葬儀・告別式の受付で渡します。両方に参列する場合でも、香典を渡すのは1回のみです。一般的には先に参列するお通夜で渡し、葬儀・告別式では記帳だけを行います。2回渡すと不幸が重なることを連想させるため、重ねて渡すことは避けます。

受付では一礼し、「このたびはご愁傷さまでございます」「心よりお悔やみ申し上げます」など、簡潔なお悔やみの言葉を述べます。その後、袱紗から香典袋を取り出し、受付の方が文字を読める向きにして両手で渡します。死因や亡くなるまでの経緯を尋ねたり、長時間話し込んだりせず、静かな声で手短に伝えることが大切です。

香典の金額相場

香典の金額に一律の決まりはなく、故人との関係、参列者の年齢や立場、家族の慣習によって変わります。一般的な目安として、両親には5万円から10万円、兄弟姉妹には3万円から5万円、祖父母には1万円から5万円、おじ・おばには1万円から3万円程度が考えられます。

友人や知人には5千円から1万円、近隣の方には3千円から5千円、職場関係者には5千円から1万円程度が目安です。金額はあくまで目安であり、故人との付き合いの深さも考慮する必要があります。

金額を決める際の注意点

香典では、「死」や「苦」を連想させる4や9を含む金額を避ける習慣があります。また、偶数は割り切れることから避ける考え方もありますが、2万円は用いられることがあります。金額だけで判断せず、故人との関係や自分の立場に見合う範囲で包むことが大切です。高額すぎる香典は、ご遺族の香典返しの負担を増やす可能性があります。

親族の香典は、家族や親戚の間で金額をそろえる場合があります。自分だけで決める前に、両親や兄弟姉妹へ確認すると行き違いを防げます。香典の金額は気持ちを競うものではなく、ご遺族に負担をかけない範囲で弔意を示すことが基本です。

香典辞退や参列できない場合の対応

訃報や葬儀案内に「香典辞退」「ご厚志辞退」と記載されている場合は、ご遺族の意向を尊重し、香典を持参しません。無理に渡そうとすると、受付やご遺族に対応の負担をかけることがあります。供花や供物も辞退されている場合があるため、別の品を送る前にも案内内容を確認する必要があります。

葬儀に参列できない場合は、現金書留で香典を送る方法があります。香典袋に現金を包み、お悔やみの手紙を添えて現金書留封筒へ入れます。葬儀後に訪問して渡す場合は、ご遺族の都合を確認してから伺います。後日渡す香典の表書きは、仏式では49日前なら「御霊前」、49日後なら「御仏前」が一般的ですが、宗派による違いに注意が必要です。

香典の基本

香典は、故人を悼み、ご遺族を気遣う気持ちを形にしたものです。香典袋の選び方や表書き、紙幣の入れ方、受付での渡し方には一定の作法がありますが、宗教や宗派によって異なる部分もあります。訃報や葬儀案内に記載された内容を優先し、不明な点は葬儀社や親族へ確認すると安心です。

金額についても、故人との関係や慣習を踏まえ、無理のない範囲で決めることが大切です。基本的なマナーを整えたうえで、静かにお悔やみの言葉を添えることで、ご遺族への配慮と故人への弔意を丁寧に伝えられます。

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青木 満

1級葬祭ディレクター

青木 満 (アオキ ミツル)

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