葬儀・家族葬コラム

お葬式のマナー

2023.12.27

【火葬式の参列マナー】服装や香典、収骨などの注意点を詳しく解説

最近は、葬儀を火葬式で執り行う方も増えていますが、一般的な葬儀に比べて火葬式に参列する機会は、まだ少ないのではないでしょうか。身内のみの火葬式であっても参列時のマナーは守らなくてはいけません。また火葬式だからこそ気をつけるべき作法もあります。

今回は、火葬式に適した服装身だしなみ香典や弔電・供花等のマナー、そのほか参列時に気を付けるべき注意点などをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

火葬式とは、どんな葬儀?

火葬式は別名「直葬(ちょくそう)」とも言われ、お通夜・葬儀・告別式といった宗教儀式を省略し直接火葬場でお別れをするご葬儀形式です。日本では死後24時間以内の火葬が法律で禁じられているため、最低でも24時間安置施設でご遺体を安置した後、火葬場にお運びし火葬を執り行います。また火葬式では一般弔問客をお呼びせず、ご家族やご親族のみで執り行うのも特徴の一つです。似たような身内中心のご葬儀に「家族葬」や「一日葬」がありますが、宗教的な意味を持たないという点において大きな違いがあります。ただし火葬式でもオプションとして僧侶に読経を依頼するなど宗教儀式を取り入れるケースもあります。

参列時の服装・身だしなみのマナーは?

火葬式に参列する際の服装・身だしなみ・持ち物のマナーについてお伝えします。

火葬式の服装のマナー(男性・女性・子ども)

火葬式は身内のみの小規模なご葬儀ではありますが、基本的には喪服を着用するのがマナーです。また喪服には正喪服・準喪服・略喪服という3つの格式があります。一般的な葬儀では、喪主やご遺族が最も格式の高い正喪服を着用し、参列者は一段格下の準喪服を着用するのがマナーですが、火葬式では喪主やご遺族も準喪服を着用することが多いです

ちなみに準喪服とは、いわゆる弔辞用のブラックフォーマルと思っていただいて問題ありません。

【火葬式の服装】

属性格式具体的な服装
男性準喪服ブラックスーツ(シングル/ダブル)
白いワイシャツ
黒いネクタイ
黒い靴下
黒い靴

※ビジネススーツはマナー違反です
女性準喪服黒のワンピース・パンツスーツ・アンサンブル
黒い薄手のストッキング
黒い靴

※スカート丈は膝下以上のものを選びます
※フリルやリボンなど控えめな装飾ならOKです
子ども制服がある場合は制服を着用
未就学児は、黒・紺・濃いグレーなど落ち着いた色の服装を選びます。

例)
男の子:白シャツに紺のパンツ
女の子:グレーのワンピースに黒いタイツ

※制服は正式な礼服とみなされているため、制服に黒以外の色が含まれている場合でも問題はありません。

上記が一般的な火葬式の服装となります。

冬場でコートを着用する際は、なるべく黒いコートが望ましいですがなければ紺やグレーなど落ち着いた色のものを選びましょう。

「平服で」と指定がある場合は略喪服を着用

火葬式は身内のみで行う葬儀のため、事前に「平服で」などの指定がある場合も考えられます。その場合は、略喪服で参列するのがマナーです。

略喪服の場合は、男性は黒に限らず紺や濃いグレーなどの落ち着いた色味のビジネススーツ、女性は同じく落ち着いた色合いのスーツ・ワンピース・アンサンブルなどを着用しましょう。

火葬式の身だしなみのマナー

男女問わず、華美な格好は避けるのがマナーです。そのため基本的に結婚指輪以外のアクセサリーはつけずに参列しましょう。普段金属製の時計を身につけている方は、葬儀の場では外すのがマナーです。ただ女性は真珠の一連のネックレスであれば、着用してもよいとされています。

また、靴やカバンにエナメルなど光沢のある素材や革製品を取り入れるのも葬儀の場では避けた方がよいでしょう。ファスナーなど、目立つ金具がついたカバンも基本的にはNGとされています。女性は、布製の金具の見えないカバンを選びましょう。ちなみに男性はそもそも葬儀の場にはカバンを持たずに参列するのがマナーとされています。

火葬式の持ち物のマナー

服装が決まれば最後は持ち物です。火葬式に持っていくものは基本的には一般的な葬儀と同じで、ハンカチ、数珠、必要に応じて香典を持参します香典は袱紗に入れて持参しましょう。また数珠は無宗教・神式・キリスト教式の場合には不要となります。

火葬式では、香典はどうするの?

火葬式の場合、香典を持参すべきか迷われる方も多いと思います。

香典辞退の意向がある場合は無理に渡さない

火葬式は、ご家族や親族のみで執り行われるため、あらかじめ香典辞退の意向をご遺族から伝えられることも多いです。その場合は、無理に渡さずご意向に従うのがマナーです。

あらかじめ辞退の意向がない場合は火葬式でも持参する

事前に香典辞退の連絡がない場合は、火葬式でも香典を持参するのがマナーです。ただし、当日お渡しする際に辞退されるケースも考えられます。香典返しの手間を省きたいなどの理由から辞退するご遺族も少なくないため、せっかく持参したのだからと無理にお渡しせずにご遺族の意向に従いましょう。

火葬式の香典相場

香典を持参する場合の金額の相場についてですが、火葬式でも一般的なご葬儀と変わらず、故人様との関係性によって相場が決まります。お包みする金額は「苦」を連想する9、「死」を連想させる4のつく数字は避けるようにしましょう。また割り切れる偶数の数字は「縁を切る」と捉えられ失礼に当たる場合があるため同じく避けた方がよいとされています。(ただし1万円では少し足りず、3万円では大きすぎるという時に2万円という数字はちょうどよいため、昨今の風潮として2万円は許容範囲となることが多いようです。)

上記を踏まえた上で相場に見合った金額をお包みするようにしましょう。相場を大きく上回る金額は、かえって相手に負担をかけてしまうことにもつながりますので注意が必要です。

【香典相場】

故人様との関係性金額相場
ご自身の両親
配偶者の両親
5~10万円
ご自身の兄弟姉妹
配偶者の兄弟姉妹
1~2万円
そのほかの親戚
ご自身の祖父母
配偶者の祖父母
1万円前後

火葬式で香典を渡すタイミング

香典は受付時にお渡しするのが一般的ですが、火葬式のように小規模な葬儀では受付が設置されていない場合があります。その場合は、喪主の方にご挨拶をしたタイミングで直接お渡ししましょう。お渡しする際には、「このたびはご愁傷様です」「心よりお悔やみ申し上げます」などのお悔やみの言葉を添えるのがマナーです。

火葬式の供花・供物・弔電のマナー

お通夜や告別式を行う一般的な葬儀では、弔意を示す方法として供花や供物、弔電などを贈りますが、火葬式の場合、供花や供物を飾る祭壇が用意されていないことがほとんどです。また儀式を行わないため、弔電を読み上げる時間的な余裕もありません。ここでは火葬式の供花・供物・弔電で気をつけるべき点をお伝えします。

供花・供物辞退の意向があれば従う

火葬式は、香典同様、供花や供物、弔電を辞退するケースも多いです。その場合はご遺族の意向に従って、お贈りしないのがマナーです。また、事前に辞退の意向がない場合も贈る前に供花(または供物)を贈りたいとお伝えし、許可を得た上でお贈りしましょう。もし直接お聞きするのがはばかられる場合は、担当の葬儀社に聞いてみるとよいでしょう。

火葬式の供花・供物

前述の通り、火葬式では祭壇が用意されていない場合が多く、供花や供物は贈られても置く場所がないという場合がほとんどです。辞退の意向がなく、ご遺族に許可を得てお贈りする場合でも、一般的な葬儀の際に贈る供花・供物ではなく、「お別れ花」としてお盆にお花を入れたものを用意するか、火葬式後、自宅にお戻りになられてから飾ることのできる後飾り用のお花をご自宅宛に贈るという方法がよいでしょう。ちなみにお別れ花とは、火葬前の棺に参列者全員でお花を入れることをいいますが、火葬前にお別れの時間が設けられていない火葬式もあります。お別れ花用のお花をお贈りしてもよいかも、事前に葬儀社に確認しておくと安心です。

火葬式の弔電

一般的に弔電は、やむをえない事情があり葬儀に参列できなかった方が斎場宛にお送りするものですが、前述の通り火葬式の場合、儀式を行わないため弔電を読み上げる時間的な余裕がありません。そのため弔電は斎場宛ではなくご自宅宛にお送りするのが望ましいでしょう。

火葬式の収骨に関するマナー

火葬式では、一般的な葬儀と同様に火葬後、収骨室などで火葬したご遺骨を骨壷に収める収骨を行います。基本的には斎場の係員の指示にしたがって行えば問題ありませんが、事前に収骨の流れを知っておくとスムーズに行うことができます。ここでは収骨の作法についてお伝えします。

収骨の順番

収骨をする順番は、故人様との関係性が近い順に行うのがマナーです。そのため最初に喪主が行い、次にご遺族、最後にご親族という順番で行うことになります。

収骨の流れ

収骨は、箸でお骨を拾い上げ骨壷に収めるという一連の流れを二人一組になって行います。お骨は、故人様の体の下の部分から上の部分に向かって足・腰・胸・頭の順に拾い上げ、最後に喪主が喉仏を収めて完了となります。

火葬式ならではのマナーに注意しましょう

ここまで、火葬式の服装や香典・供花や供物、収骨などのマナーをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。火葬式は、ほかの葬儀スタイルに比べてお別れの時間も短く、僧侶をお呼びしての読経も行われないことが多いです。そのため香典や弔電、供花のマナーは、一般的な葬儀とは異なる点があります。これから火葬式に参列する方や、参列はしなくとも弔意を示したいとお考えの方は、ぜひこの記事を参考にしていただけたら嬉しいです。

青木 満

1級葬祭ディレクター

青木 満 (アオキ ミツル)

一人ひとりの気持ちに寄り添い、心温まるサービスを提供いたします。

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