家族葬
2024.10.24
多様化する納骨スタイルー石のお墓からデジタルお墓までー
お墓と聴くと墓石が並んだ墓地のイメージや、先祖代々継承されていくお墓を想像する人が多いと思いますが、最近は少子化によるお墓の継承者問題から墓じまいを考える人も増えています。そのような時代の流れから、納骨の形も多様化しているのが現状です。
今回は、寺院墓地、霊園、納骨堂など、さまざまな納骨先の選択肢や、夫婦墓や個人墓など多様なお墓の種類、そしてIT技術を駆使した最新のバーチャルなお墓などについて解説します。
自分のお墓について考えている方や、墓じまいを検討している方も、ぜひ参考にしてください。
納骨とは?いつ行うもの?
納骨(のうこつ)とは、火葬後のご遺骨をお墓や納骨堂に納めることをいいます。
納骨を行うタイミングに決まりはありませんが、四十九日法要と同じ日に、合わせて行うのが一般的です。ちなみに四十九日法要は、故人様がご逝去された日から数えて49日目に当たる日もしくはそれ以前の都合のよい日に行われます。四十九日法要が終わった後、その足で納骨式を行いご遺骨をお墓に納める流れが一般的です。
ただし新しくお墓を建てた場合は建立に時間がかかるなどの理由から、一周忌や三回忌などのタイミングで納骨を行うこともあります。また、心の準備ができるまでしばらくご遺骨をご自宅に置いておきたいというご遺族様もいらっしゃいます。納骨の時期に決まりはないため、よきタイミングで行いましょう。
【一般的な納骨までの流れ】
お通夜
↓
葬儀・告別式
↓
火葬
↓
納骨の手配
↓
四十九日法要
納骨先にはどんな選択肢がある?
納骨先には、寺院が管理する寺院墓地以外に、お寺に属さずに民間業者や自治体が管理する霊園墓地や、寺院や自治体、民間業者などが管理する納骨堂などがあります。
ここではそれぞれの特徴やメリット・デメリットについてみていきたいと思います。
寺院墓地
寺院墓地は菩提寺の境内や隣接する敷地に設けられている墓地のことをいいます。このような墓地に納骨する場合は、その寺院の檀家になる必要があります。
古くは各家庭に先祖代々お付き合いをしているお寺(菩提寺)があり、そのお寺がご家族の供養を行なっていました。菩提寺の檀家となることで、仏事について気軽に相談したり、葬儀や法要の際に優先的に供養をお願いできるなどのメリットがある反面、寺院の行事に参加したり、お布施などでお寺を支援することなどが求められました。
今でもお墓といえば、菩提寺が管理する墓地をイメージする人も多いとは思いますが、最近は、少子化により「後継ぎがいない」、あるいは「お墓が遠方でお墓参りができない」などの理由から、墓じまいをするケースも見られます。
霊園墓地
霊園墓地には各自治体が運営する公営霊園と公益法人や宗教団体などが運営する民営霊園があります。霊園の定義は特になく、寺院墓地の中にも「〇〇霊園」と名前のついているものがあるためわかりにくいのですが、霊園は寺院墓地のように檀家になることを前提とはしていません。そういう意味では宗教的な自由度が高く、家族間で信仰の違いがあっても利用しやすいというメリットがあります。ただし法事などの際には、宗教者の手配を自分たちで行う必要があるため手間がかかります。
ちなみに公営霊園の場合は、民営に比べて費用を安く抑えられる傾向にありますが、その分人気があるため、なかなか空きが出ないことも多いようです。
納骨堂
納骨堂は、お墓というよりも納骨スペースといった方がわかりやすいかもしれません。ご遺骨を土に還さずに骨壷のまま屋内のスペースに収蔵するイメージです。また一つの建物の中に、多くの収蔵スペースがあり、複数のご遺骨が収蔵されている点も特徴の一つといえるでしょう。そのため従来のお墓を一軒家とするならば、納骨堂はマンションにたとえられることが多いです。
実は納骨堂は、昔はお墓が建つ前に一時的にご遺骨を納めておく場所でした。しかし現代では、時代の流れとともにニーズが増えて、お墓の代わりとして使われるようになりました。ちなみに多くの納骨堂が、一定期間までは個別でご遺骨を収蔵し、その期間を過ぎると合祀され、墓地管理者が永代に渡り供養や管理をしてくれるという永代供養付きのスタイルが多くなっています。
また納骨堂の中にも寺院が管理する納骨堂がありますが、この場合は檀家になる必要がないことがほとんどです。ただし、その寺院に法要や葬儀をお願いする場合はお布施が必要になります。
納骨堂は、費用面の手軽さや、比較的アクセスのよいところにあるなどの利便性の高さがメリットとして挙げられます。また屋内にあるため一般的なお墓のような掃除の手間もかかりません。一方で、先祖代々の遺骨をまとめて納骨するほどのスペースがないことや、屋内施設のため線香や食べ物のお供えが禁じられている場合があるといったデメリットもあります。
お墓に納めない納骨のかたち
これまでご紹介してきた納骨先はすべてお墓などのスペースにご遺骨を納めるものでしたが、ご遺骨を自然に還す「自然葬」という方法もあります。
具体的には、樹木を墓標としてご遺骨を埋葬する樹木葬や、遺骨を粉状にして海や川、山などに撒く散骨があり、故人様の生前のご希望から選ばれるケースが多いです。
樹木葬にも、骨袋を用意して納骨するケースと、そのまま土に埋葬するケースがあり、前者はご遺骨が残るため、一定期間を過ぎると合祀されることがほとんどです。自然葬は納骨方法としてはまだまだ少ないケースのため、後々のトラブルを防ぐためにも親族間でよく話し合って決めることをおすすめします。
最新の納骨スタイルー IT化するお墓 ー
上記の納骨スタイルに加えて、最近は、お墓を持たずにインターネット上にバーチャルなお墓を作り、オンラインで遠隔からお墓参りをする仕組みなど、ITを駆使したサービスも生まれています。
バーチャルお墓
バーチャルお墓は、インターネット上にお墓を作り、遠隔からもインターネットを通じてお墓参りができるという仕組みのお墓です。
「離れて暮らす家族がなかなかお墓参りができない」、「仕事が忙しくて日中時間が作れない」、「経済的にお墓を建てることができない」という方に選ばれています。数千円の年会費と2~3万円程度のお墓代がかかりますが、実際にお墓を建てることに比べたら非常に安価に維持管理ができ、手を合わせたい時にいつでもお参りができるというメリットがあります。
ただ、バーチャルお墓を利用するケースは、実際に納骨堂などにお墓を持った上で、お参り専用のお墓として利用したり、ご遺骨を散骨するなどして自然に還した後に、お参り目的で利用するというニーズが多いようです。実際のお墓がある場合は、そのお墓にWEBカメラを備え付けてリアルに参拝を体感できるシステムになっています。
デジタル祭壇
お墓参りのIT化という意味では、納骨堂などで活用されているデジタル祭壇もその一つです。これは、納骨堂でカードリーダーをかざすだけで、故人様の遺影が画面上に映し出され、簡単にお参りができるという仕組みです。混雑時もゆっくりと手を合わせることができるというメリットがありますが、納骨堂に足を運ぶ必要があるため営業時間内にお参りをするなど、通常のお墓参りと同様の対応が必要になります。
お墓の種類
ここまでは納骨先の選択肢をいくつかお伝えしてきましたが、ここからはお墓の種類を紹介します。お墓は、一般的に一族が同じお墓に入る家族墓というスタイルが多いですが、そうではない選択肢もあることを覚えておきましょう。
夫婦墓
そのうちの一つが、夫婦で同じお墓に入る夫婦墓です。一族のお墓には入らず、夫婦だけ別でお墓を作って納骨する方法です。夫婦の間に子供がいない場合などに選ばれており、一代限りでその役目を終えるので、お墓の承継者は不要です。ただし、事前に納骨先に相談し、永代供養をお願いしておく必要があります。
個人墓
自分1人で入るお墓です。一族とは別にお墓が設けられるもので、有名人など特別な功績を残した方に多いお墓です。その方にちなんだ自由なデザインのお墓が選ばれることが多いです。
両家墓
両家墓は、本家の人だけでなく違う姓をもつ人も一緒に入ることができるお墓です。多くは子供が女性しかおらず、姓を継ぐ人がいない場合などに選ばれています。
共同墓
同じ宗教や志向を持つ人が一緒に入るお墓です。多くは教会墓地や寺院の檀徒専用墓地などですが、最近は独居老人同士や老人ホームなどでも用意することがあるようです。
現代は石のお墓からネット墓まで、多様な納骨スタイルがある
ここまで、時代の流れとともに多様化する納骨スタイルを、一般的な石のお墓から、霊園、納骨堂、自然葬、そして最新のIT技術を駆使したデジタルお墓まで、多種多様なスタイルを紹介してきました。故人様を弔うという行為は、これまでも時代を問わず行われてきましたし、これからもきっと行われ続けていくのだと思います。しかし、その弔い方は時代や社会を反映しながら変化していくものなのかもしれません。
ご自身やご家族をどのように弔いたいかをよく考え、親族とも話し合った上で、ご自身に合った選択をしていくことが大切です。
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